グウェント クエンの印はどこですか?

Kafiristanがグウェントについてあれこれ書いていきます。

【グウェント】グウェントの抱える課題(2018/11月下旬現在)

HomeComing後のグウェントよりβ版のグウェントのほうが面白いという意見をチラホラと聞く。私も今のグウェントを楽しみながら「何かこれじゃない」という違和感を抱いている。今回は今のグウェントが抱える問題点を列挙していく。

カードの少なさ

4~5コストブロンズを絶対に入れないといけない構築であるのに、「使える」カードが少ないために固定されてしまう。そうなると「使えない」ブロンズをいれて我慢することを強いられてデッキを構築するか、「使える」ブロンズをいれてそれを生かす構築にするかという選択になる。勝てるデッキであるためには後者であることが強いられ、結果としてデッキの幅が狭くなる。

これを解消するためには「使える」低コストブロンズの種類を増やし構築の選択肢を与える必要がある。

デフレ環境

さて、カードを増やすといっても4コスト4点、5コスト5点が最低スタッツとなっている現環境では限界がある。スタッツ4点や5点の間でカードレパートリーを増やすのは至難である。そこで仮に4コストで5点のカードや5コストで6点のカードを増やしたら、それらのカードがメインで使われることになり、幅が増えたとはいえない。なのでやるべきことは4コスト4点という基準を引き上げることで、安直に言えばインフレさせることが求められる。

β版の頃もグウェントがインフレゲーなることに不満は多かった。しかし今はデフレにすぎるのであり、初期環境から改善を図る手段としてインフレを起こすのは健全であろう。また、拡張の余地を与えるためにも「ある程度」のインフレ化は必然の道であろう。ゲーム環境を壊さない程度のインフレ、これが難しい。

圧縮、展開の不足

β版はクリンフリッド団の斥候やエルフの斥候から偵察を呼ぶなど、圧縮してプレイしたいカードを引く確率を上げる手段が豊富にあった。これはグウェントの醍醐味の一つであったが、現在は圧縮するブロンズカードは少ない(逆に言えば圧縮できるワイルドハントの騎兵や刺青隊の精鋭は構築入りしやすい)。ゴールドには複十字や進軍命令が残っているとはいえ、コストが高く設定されている。召喚するカードを高く設定することで構築に入りにくくしているのだろうが、それでもプレーヤーは高コストを払ってまで採用しているのだ。

ウィッチャー3人衆の問題はここで話せるだろう。どの構築にも“必ず”という修飾語が付けられるほど採用されている3枚である。プレーヤーが21コスト12点に惹かれて採用しているのではない。(仮に21コスト12点の1枚のカードとして実装されていたら見向きもされないだろう。)ローチ込みで出せる便利な圧縮手段だから採用されているのだ。プレーヤーは圧縮したいのだ、決してβ版の面影を追いかけているのではなく勝つための手段としてそれを欲しているのである。

何故、圧縮手段を封じてゲームを作っているのだろう?製作者の意図がわからない。

スケリッジの強さ

その割にスケリッジは高圧縮デッキを引っ提げてランクに存在している。彼らには破棄という便利な圧縮手段を持っている。デッキ残り枚数を数枚まで減らせるうえに、墓地と山札を交換するというカードまである自由度はプレーヤーを惹きつけている。

スケリッジの強さは相手にダメージを与えておけばコンボを決められる点、クラフ・アン・クライトの強さ、獣シナジーを生かせるカードに代表されるブロンズカードの使い勝手の良さが挙がる。墓地を参照するというスケリッジの特性が彼らをグウェントの中で図抜けた勢力にしているのだ。

スケリッジを止める手段は他の勢力のスタッツを上げることで解消されるだろうか?追加するカードに、居続けることで効果を発揮するカードをスケリッジに実装するのは意味があるかもしれない。そう、命令カードだ。

北方の不遇

一方北方は命令アビリティという興味深いデッキタイプをもらったが、現在5勢力の中で最も勝ちにくい勢力である。なぜか?北方はブロンズカードの戦力値が低いわりに、盤面ユニットが継続的に居続けることで強さを発揮するカードが揃っている。ダメージを配備に持つカードが多い環境で彼らが生き残ることは難しいのだ。なにより北方は命令カードとそれにチャージを与えるカードによるコンボで成り立つ設計になっている。にもかかわらず低価の圧縮が少ないのである。

10枚という制約

北方の話と絡むのだが、手札が10枚しか持てないという仕様も北方に限らずプレーヤーの戦略性を狭めている。10枚しか持てないと2ラウンド目に7枚以上持っていると、3ラウンド目開始時にカードを破棄する必要がある。無理やり手札を7枚以下にしなければならないのはストレスである。無駄な動きはグウェントらしくないのである。

北方はさらにストレスを抱える。その10枚の中にコンボを決めるカードが揃っている、もしくは引けるカードが揃っていることは少ない。自分のしたいことが(相手の妨害がなくても)できないのはプレーヤーに北方の魅力を失わせている。(β版の時に北方に妨害を与えずに放置したら、どのような悲惨な目に合うかは周知のことであろう。)今北方は圧縮ができない、妨害が多い、コンボが決められない、相手にダメージを与えたくとも盤面に相手ユニットがいないという悪条件の下で生きている。圧縮ができ、妨害が少ない、コンボが決まる、兵器の攻撃対象がいるというのが北方には最適なのである。

補足:現在のグウェントで成立するデッキは破棄を生かして圧縮ができるスケリッジという勢力、ダメージに強い遺言を生かせ、墓地を捕食できるモンスター、アーティファクトを絡めたフィニッシュムーブが強いデッキ、そして単体戦力値が高くシリ・ダッシュを絡められるニルフなどである。これが製作側の望んだ展開であろうか?

アーティファクトの存在

盤面にアーティファクトを並べ合う、戦場に絵画が置かれるという状況はプレーヤーがユニットを置けば的にしかならないという判断から生まれたものだ。それをまともに食らったのが北方であり、プレーヤー心理に最も適した勢力がスコイアであった。

アーティファクトを相手にすると何が嫌かというと、アーティファクトを除去する手段を構築に入れなければならない、その割に出すほうは2個も3個もアーティファクトを出せてデッキコンセプトにそぐえるのに、対処するほうはスタッツの低いユニットを置かされ、除去手段を使い切ったらアーティファクトの効果を妨害できないのである。これはストレスである。

幸いなことに製作者はアーティファクトにアーマーを付けて、除去できるように変更を試みているようである。アーティファクト除去に専用カードを用意しないで済み、(たとえ形の上で0点ダメージとなろうとも)ユニットを置くことに意味を持たせられるのであれば、この試みには賛同できる。アーティファクトが少なくなれば、配備して終わり、というユニットよりも場にあり続けるユニットの価値が高まる方向に向かうのではないか。

デッキコンセプトの拡張は?

グウェントはダメージを与える、ブーストを与える、破棄する、公開する、盗む、奪う、墓地を利用する、スペルで燃やす、特定のカードの除去、場にあり続ける、ミル、圧縮する、タグを利用する、遺言、捕食、成長、継戦、耐性、決闘、吸収、チャージ、相手のダメージで大きくなる、伏せる、入れ替える、封印する、初期化する、アーマー、天候、アーティファクト、という戦い方をカードに組み入れてきた。さて、今後はどのようなコンセプトが実装されるのだろうか?コンセプトのストックの底が尽きているようではグウェントの未来は危なくなる。なにしろ、グウェントはリーダーの顔を殴るという便利な拡張方向がないのである。ハースストーンでいうところのTauntを実装することもできるかもしれないが・・・。製作者が拡張性のアイディアをどれだけ持っているか、多少の不安を持ってプレイしている。

2列化は妥当か?

最後はシステムの話。グウェントの制限は何かとプレーヤーを困惑させる。10枚という手札制限を掛けたこともそうだが、2列化して自由よりも不自由な環境になったようにも思える。カードの大きさからみればあの大きさを3列に置くのは間延びしているといえなくもない。しかし、システムとして2列にしたことで移動カードや列全体に影響を与えるカードの威力が上がった。プレーヤーにしてみれば、例えば竜の夢やレジスから逃れる手段が別の列に置くというものしかないのはストレスである。「3列なら分散させることで被害を軽減できるし、射程からも逃れられるのに・・・」と思ったのは私だけではないはずである。

2列化した意味とは?考えられるのは「奪われし玉座」に合わせた仕様にした、ということだ。「奪われし玉座」はメーヴが天才メノ・クーホルンの指揮によるニルフガード侵攻の前に国を失い、復権していく物語を描いたスピンオフであり、考えさせられる選択と登場人物の描き方、音楽とパズルの完成度の高い良作に仕上がっている。それはいいのだが、玉座に合わせた10枚制限と2列化がグウェント本体の足枷、つまりゲーム性を損なうものとなってはいないだろうか。

 

見出しに付けた問題点を解決すればグウェントが面白くなるというわけではないと断っておくが、「価値のあるカードを増やし」、「圧縮をしやすくして」、「スケリッジを抑え」、「北方の命令が生かせるようにし」、「2列化や10枚制限にゲーム性と高める方向の意味を与え」、「今後の拡張のアイディアを生み出していける」ことができればグウェントがDCGとして競争に勝てる作品に仕上がるのではないだろうか。素人考えを並べたが、グウェントが他のDCGに勝る作品と思うからこそ、改善を期待しているのである。

言うは易しなんですけどね。頑張れCD PROJEKT RED!