グウェント クエンの印はどこですか?

Kafiristanがグウェントについてあれこれ書いていきます。

【サイバーパンク2077】この街がシステムを変えれたら

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2020年の最後の月に発売されたサイバーパンク2077。キャッチコピーは「この街が全てを変える」。ありがちな文句で、今やあらゆる商品が「過去最高」とか「今までにない体験」と謳う時代にあっては「ああ、またか」という印象でした。一方でサイバーパンク2077は「ウィッチャー3」を制作したCDPROJEKTREDの最新作なのです。グウェントから人材を引き抜いてサイバーパンク2077に投じたことも知っている身としては、期待を持って発売を待っていました。きっとウィッチャー3を超えるオープンワールドゲームを作ってくれるだろう、と。

今回は100時間を超えてプレイし、すべてのエンディングを見た感想を書いていきます。

まずはグラフィックの評価から。動作環境に5~10万に迫るGPUを要求するゲームだけあって、グラフィックは最高でした。私は画質「高」で遊びましたが、RTX3000シリーズで影の描写まで表現できるグラボを持っているプレーヤーはもっといいビジュアルを楽しめたと思います。オープンワールドでは目的地まで車で移動するのは途中から苦行になることもありますが、ナイトシティは美しい景観を楽しみながら飽きることなく運転できるのです。これぞ次世代のゲーム!

f:id:Kafiristan:20210113172616p:plain舞台セットが最高のゲームなのは間違いない。

続いてはストーリーについて。発売前にウィッチャー3よりも短い本編になることが明かされていましたので、ボリュームは少なくなると覚悟していました。それをわかっていても今回の本編は短かった。コーポを相手に戦いを挑むというコンセプトは悪くありません。近未来の街で既得権益に挑戦する主人公は王道ですし、成り上がる物語を楽しむのもゲームの醍醐味です。それでも、相手にするコーポがアラサカ社1社であること、アラサカ社の内部対立が深く描かれなかったことは残念なことです。複数のコーポを相手に、または社内の派閥のどちらにつくかを選択して目的を達成する、という物語も創りえたのです。今回の本編は一本道のルートを通り、最後の選択肢によってエンディングが別れるという大味な展開になっています。ウィッチャー3であれだけの分岐とエンディングを創れた会社の作品としては評価が下がってしまいます。

CDPROJEKTREDはウィッチャー3の本編を最後まで遊んだプレーヤーが少ないことを理由にサイバーパンク2077の本編を短くしたようですが、本編を最後まで遊ばないプレーヤーのことなど無視して重厚なストーリーをガッツリと作ってほしかった。ダンジョンが簡素化され、1本道になっているという昨今のゲームに挑戦をする意気込みで分岐が何本もあるストーリーを作ってほしいのです。

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一方でサイドジョブはクエストに関わる登場人物を深く知れる質が担保されていました。特に市長候補ベラレス夫妻のサイドジョブは恐ろしくもあり、選択肢によって結末が変わるので、決断を迫られている!というドキドキを味わえました。デラマスのジョブもサイバーパンクの世界ならではのジョブで彼(ら)の未来も気になるところです。他にもパナムやジュディー絡みのジョブも複数ジョブにわたって作りこまれて、製作陣の本気を見ました。登場人物の背景やメインジョブが終わった後の行く末を想像して楽しめる深さのあるサイドジョブとして評価できます。

f:id:Kafiristan:20210113172713p:plain彼らの運命やいかに・・・。

とはいえ、サイドジョブがサイドジョブとして完結し、本編のエンディングに絡んでくる要素が少ないのは寂しい限りです。個人的にはデラマスジョブの結末が、最後のメインジョブに絡んでくるというのを期待していたのですが・・・。

エンディングについては各自で見ていただきたいと思いますが、一点だけ自殺エンドだけは関わりのある登場人物からのメッセージに辛い心持になりました。特にパナムの言葉。

さて、本編とサイドジョブについて言いましたが、ボリュームが欲しいとはいえ物語としては評価できる出来なのです。問題はサイバーパンクの世界を支えるシステムにあります。気になった点を挙げます。

・NCPDのギャング掃討依頼やサイドジョブの現場に落ちているテキストログ。これはサイバーパンクの世界を飾る言葉のワールドであるが、一方でプレーヤーが読もうと思う工夫が足りていません。テキストログを読み終えた後にVが二三事(すべてのログについて出なくていい)喋っていれば、作業のようにログの右上についている「new」の文字を消すだけの情報群として終わることはなかったでしょう。サイバーパンクの世界はハイテンポでゲームが進行し、近未来の都市をつくるために電気の光でプレーヤ-を歓迎してきます。そんななかで文字情報がプレーヤーの頭に入ってくるでしょうか?ウィッチャー3の世界は時間の流れがゆっくりです。その世界であればダンディリオンの言葉の世界を楽しむことができるでしょうが、ナイトシティでプレーヤーが文字情報をゆっくり味わうのは難しいのです。しかもなぜかログの文字が青い・・・。

・ギャングたちは各クエストで各個撃破されるのを黙ってみているだけで、通りで出くわしても襲ってきません。そのためギャングを相手にしているという感覚がわきません。例えばシックスストリートを倒すクエストがあると、しばらくすべてのシックスストリートと敵対して容赦なく打ってくるというシステムでもよかったでしょう。そうなればむやみに戦闘せず、隠密ハックで進んでいくという選択もありました。

・システム面の貧弱さは他にもあります。ワールドで一定の距離離れたオブジェクトは銃声も爆破も一切認知しない壁紙になります。例えばスコープを除いて遠くの市民を狙撃しても一切逃げもしない、当たりもしない。Vとの距離に応じて反応がなくなるシステムは面白みがありません。ウォッチドッグスで建物の上に登って狙撃してどこまでの距離の敵が当たるかを検証した人はいると思いますが、サイバーパンク2077ではその楽しみがなくなってしまいました。こういうガキみたいなことをして遊ぶのもオープンワールドGTA風ゲームの醍醐味なのです。

・伸ばす能力が主に射撃・近接・ハックの3つなのはいいとして、問題は敵が射撃・近接・ハックのいずれでも倒せるという仕様です。射撃・近接にはめっぽう強いが強力なハックには弱いボス・グレネードの研究を進めなければ倒せないようなボス、マップに射撃制限があり剣術試合を通して倒せる敵といった作りなら、パーク選びも意味を持ったでしょう。現状では戦いたい戦闘形態をカンストさせ、後は適当に割り振るだけでいい仕組みなっています。

・改造パーツはリーパードッグで付け替えが可能で、装備はその場で購入可能となっています。この手の改造パーツこそ設計図やトレジャーハンティングのように、マップのどこかにある箱の中から探してくるというシステムにすればよかったのではないでしょうか。また一度付けたら付け替えが効かなくなる(身体に埋め込んだりするのだから現実的だ)ようにすれば緊張感も生まれました。現状ではお金さえあれば簡単に付け替え可能な改造パーツという味気ないものになっています。

車の改造が出来ればさらに面白いでしょう。せっかくレースのクエストがあるのに車はクエストで貰える車か買ったものしか乗れません。改造して自分好みの車で走りたいものです。

f:id:Kafiristan:20210113173003p:plain街を走る車を自由に(1台でいいから)自分の車として登録して乗り回したい。個人的にはこの色の車に乗ってみたい。手に入るのは色違いの車だけなのだ。

・今作はフォトモードというゲーム内で編集できるスクショモードがあります。これはいいとして、台詞も含めたスクショ、所謂F12で撮れるスクショも入れてほしかった所。ウィッチャー3は台詞もゲームの評価を上げた点です。サイバーパンクにも台詞を含めて取りたいシーンがあったのに、それを取る手段がなくなったのは残念です。PrtScを押すしかないのでは・・・。

f:id:Kafiristan:20210113173355p:plainそれでもいい絵はいっぱい取れるのですよ。

このほかにもバンダナや帽子をかぶった時に鏡を見たり、フォトモードにすると髪の毛がなくなっている点、スマホが空中に浮いている点。グリッチに似た裏技で経験値や所持金を増やせる点など、バグや仕様の穴が散見されました。もっとも近年のゲームのバグがないゲームを見つけるほうが難しいですし、広いナイトシティにある細かい粗を探して回るのは野暮というものです。

f:id:Kafiristan:20210113173505p:plain一番笑ったバグは同じ車を2度呼び出すと同じところに沸いて重なるバグ。

グラフィックは最高。都市の外観もいい。登場人物も良。つまり素材は揃っているのです。ならばストーリーをガッツリ作り込み、サイドクエストの種類やシステム面をがっちり武装すれば、最高のゲームになりえるのです。今私が期待することはバグやグリッジの修正をすること、DLCが厚いボリュームであること、なによりシステムの改善がなされていくことです。最後に最近のゲームを遊ぶにあたっての心構えを書いて終わります。

「発売直後に遊ぶプレーヤーはデバッカー」

(Hotfix 1.06の情報をもとに書いています)